薬膳の歴史

■下市の漢方史

薬草は享保年代(1720年)幕府の採薬使 植村佐平次が伝えた。
当時、下市薬園(願行寺)(茶、ヤマモモ、コブシ、アオギリ、ヤブツバキ、ユスラウメ、サザンクワザクロ、ハゼ、イチオヤクソウ、テンダイウヤク、イチヤクソウ、スイカズラ、キッキョウ、シュラン、トウキ、シャクヤク、ボタン、大黄、モッコク、七根・カンゾウ、東京肉桂・ケイヒ(シナモン)、烏白木(ナンキンハゼ)、天台烏薬(テンダイウヤク・健胃薬)、山茉萸(サンシュユ・腎の強壮剤)、杜荊樹)堀池薬園(現下市中学)(イヌワラビ、シュンラン、クロモジ、ヤブコウジ)、樺木薬園(かばのきやくえん)平原(茶、あま茶、バイモ、ゴシュ、トウキ、トチバニンジン、フエノハラワラビ、センブリ、ケンポナシ、スイカズラ)他にも願行寺には享保年間に境内に薬草仮植地帯があった記録もある。(ヤブツバキ、茶、テンダイウヤク、ヤマモモ、スイカズラ、イチヤクソウ)

一時期廃れるも戦後昭和23年に薬草栽培が復活(トウガラシ、ハッカ、ウイキュラ(芳香甘味料)など)その集荷業者として、薬種商が栄えた。(熊伍、池田屋、唐戸屋、岩井屋、菊佐、松尾)50件。
現在はトウキ、ボタン、シャクヤク、貝母(バイモ・アミガサユリ)、山菜、サフランも盛ん。
地域としては、栃原で、ゴシュユ、バイモ、コウゾ、カラムシなどが野生しており、また平原においては、茶、あま茶、トウキ、スイカズラ、トチバニンジン、フユノハナワラビ、ゴシュユ、ケンポナシ、シュンラン、ヤブラン、ワラビ、カコソウ、センブリ、テンダイウヤク、カタクリ、ツルリンドウ、バイモが野生している。下市地区には、テンダイウヤクが自生している。他にも牡丹、ケンゴシ(朝顔)、木香(モッコウ)、バイモも栽培していた。

【下市で収穫されている代表的な薬草】
1.山椒(サンショウ)産地は奈良と和歌山県

生山椒は 5月20日から30日頃収穫
粉末加工可能
乾燥した山椒7月~8月に製造する。 京都では生山椒との配合で、美しい色で利用できる。
日本料理の二大香辛料とされている。もうひとつは、柚子(ゆず)。
山椒の作用として ・発汗作用

  • ・食欲増進
  • ・消化促進 など

葉、果皮、樹皮には、精油成分、辛み成分が含まれており、健胃、駆虫、保温に効果がある。

  • ・木の芽みそ、粉ザンショウ、辛皮(しんぴ)は、食欲増進・食中毒予防になる。
  • ・果皮を煎じて飲んだり、粉にして服用すると、胃のもたれに効果あり。
     また、空腹時に飲むと、回虫の虫下しに。
  • ・ヒビ・霜焼けは、果皮を濃く煎じたものであたたかいうちにマッサージをするとよい。
  • ・葉を粗く刻み、綿袋などに入れ浴槽に入れ入浴すると、リウマチ・神経痛・腰痛・肩こりによい。
  • ・生葉の汁は、虫刺され、切り傷に効果あり。

木の芽 春先の若芽は、お吸い物、田楽、木の芽あえなど、香りづけや色づけに。 夏に枝切りし、新芽がでたら、お浸しや和え物に。
少し育った葉は、刻んで薬味や佃煮に。

○花サンショウ

しょうゆで煮ると、酒の肴、お茶漬け、料理のツマに最適。 蕾(つぼみ)も酢漬けをして食べる。

○青ザンショウ

香辛料、佃煮や漬物に。

○粉ザンショウ

「ウナギの蒲焼」にぴったり。 魚の毒を消すといわれ魚料理に欠かせない。脂っこさも消す。また、七味唐辛子の材料となっている。

○辛皮(しんぴ)

若い樹皮を切り取って水に漬け、アクを抜き、皮をはぎ、刻んでしょうゆで煮たり、塩漬けにしたもの。お茶漬けの友として、僧坊で用いられた。かたい枝は、すりこぎとして、最上!木の成長がゆっくりなので、珍重されている。かすかな香りがたつので、人気が高い。

 
2.生姜

熱帯アジア原産で、日本には、稲作とともに中国から伝えられたといわれており、歴史も古く、薬用・食用に用いられてきました。和・洋・中・エスニックと利用も幅広く、中国では、にんにくとともに欠かせないスパイスで、インドでは、カレーのスパイスにも。
甘・辛どちらの料理にも合い、欧米ではクッキーやケーキにも利用される。アジア諸国では、生を使うことが多いが、欧米では、パウダーを使うことの方が多い。 日本では、生、甘酢漬け、ドライ(スライス・パウダー)、チューブ入すりおろしなど。 一年中出回っているが、旬は7月~9月。-ショウガ科-

○薬効・・ しょうがの辛みは、ジンゲロンとショーガオール。食欲増進や殺菌作用がある。ショーガオールは、酸化防止の働きがあり、中華料理に油にしょうがを入れるのは、香りとともに、油の酸化を防ぐ役割もある。また、クッキーなどのお菓子類にも同様の酸化防止の効果がある。そして、魚やレバーなどの臭い消し作用もある。ジンゲロンには食品に対する抗菌作用があり、魚などによる食中毒を予防する。
香り成分は、食欲増進、発汗、去痰、消炎、保温作用などがあり、風邪の初期症状、リウマチ、神経痛、冷え性などによい。
健胃、嘔吐、せき、むかつきに効果があり、乾生姜は、新陳代謝を促し、体を温め、冷え性、せき、腰痛、腹痛などに効果がある。新しょうがの乾燥葉を薬湯として用いると神経痛に効果がある。
 
3.ドクダミ

本州から沖縄および中国・ヒマラヤなどに分布している。草丈15~35cm、花期は6~7月。薬用部分は花期の地上部(ジュウヤク)にある。刈り取って水洗い後、日干しにして乾燥させる。独特の臭気成分をふくんでいる。高血圧、動脈硬化の予防効果や、利尿作用がある。解熱、解毒、消炎薬として用いられる。一日量全草10~15gを水800~900mlで煎じて3回に分けて服用する。生の茎葉をすりつぶし、おできやただれ、蓄膿症・痔などに広く応用できる。ドクダミの若芽、若葉、茎は春~秋、地下茎は一年中いつでも食べられる。変わった使い方として穴をあけたビニール袋にドクダミを入れ、そのまま冷蔵庫にいれると防臭剤として使える。コップにさしたまま、冷蔵庫のすみに入れておいてもよい。
ドクダミの生命力と繁殖力は、他の薬草よりはるかに強く、いくらむしり取っても、根茎が残っていると、翌年は、地面いっぱいになるくらい繁殖します。野原、空地、路地などどこでも見ることができます。6月頃、白い花が咲き葉は、さつまいもの葉に似ています。
独特の臭いがあり、何か毒でも入ってるのではないか?ということからドクダメ(毒溜め)がドクダミへと変化してこの名がついたと言われている。古来より、民間薬として利用されてきました。 漢方名を「十薬」という。 -ドクダミ科-

○薬効・効能・・ ドクダミの花穂や葉、茎には、排便を促す緩下作用や余分な水分を排泄する利尿効果がある成分を含んでいるので、体内の老廃物除去作用がある。また毛細血管を強化する作用もある。カリウム塩を含んでおり、神経細胞や筋肉組織を活性化する働きがある。体内の水分を正常に保ち、利尿作用、快便作用、皮膚表面の汗腺の調節に効果があり、自律神経をコントロールする働きもしている。ドクダミの独特の臭いは、精油成分。この成分は、強い抗菌作用がある。
最近、抗カビ、抗菌作用について目を向けられている。ドクダミの独特の臭いのため昆虫も嫌うほどで、白アリ予防や食品の防腐剤としても開発されている。生葉では独特の臭いのため飲用できないが、乾燥させると、精油成分が揮発するので、煎じて飲用することができる。煎じて飲料することにより、便秘症、風邪、蓄膿症、耳鳴り、胸の痛み、のぼせ、胃酸過多、高血圧、動脈硬化、冷え性などなど数え切れないほどの効能があります。独特の臭みも高熱により消失する。
  • ◆若い芽の天ぷら
  • ◆塩湯でゆでて、水でさらし、味噌とみりんで和える。
○ドクダミの生葉の使い方
  • ● 生葉の殺菌作用はスルファミンの4万倍
  • ● 切り傷、すりきずは生葉で。
  • ● タムシやインキンに。
  • ● 頑固な水虫に。
  • ● ニキビ、カミソリ負けに。
  • ● 皮膚病に。
  • ● ドクダミ化粧水をつくる。
○乾燥したドクダミ(十薬)の使い方
  • ● 便秘に。
  • ● 利尿作用。
  • ● 血圧を下げる。
  • ●入浴剤として。
○ドクダミの料理法
  • ● ドクダミゼリー
  • ● ドクダミ茶
  • ● ドクダミジュース
  • ● 芥子酢味噌和え
  • ● 天ぷら
  • ● ドクダミの地下茎のごまあえ
  • ● ドクダミの地下茎の煮物
4. ヨモギ

日本各地の山野や道端に自生する大変強い野草。春に根茎から芽を出し葉を伸ばす。葉は、キクの葉の形に似ていて、裏面に灰白色の綿毛が密生している。食用とするのは、春先の若い芽や、やわらかい葉などで、独特の香りがあり、その香りは、昔から草餅や草だんごの原料としても用いられており、別名を「モチグサ」とも呼ばれている。
中国では毒気、邪気を払う力があり、ヨモギを食べると、寿命が延びるといわれていた。秋に枝先に黄褐色の小さな花が多数咲く。-キク科-

○薬効・効能・・ 漢方では、ほとんどの病気に利用されるほど、薬効の多い野草。ミネラル・ビタミンが豊富で、整腸作用が大きく、便秘にもよい。臓器の機能を正常に保ち、公害物質や老廃物がたまらないよう体外に排出し、血液を浄化する効能がある。ホルモンのバランスを調節し、子宮の機能を活発にする。精油成分を豊富に含んでおり抗菌作用ですり傷、切り傷の止血や殺菌に効果がある。気管支炎などによる咳を止めたり、イボの治療にも効果がある。
○料理・・ アクが強いので、熱湯に重曹を入れよくゆでて、冷水にさらすとアクが抜け、強烈な香りが薄れるので、食べやすくなる。ゴマと相性がいいので、ゴマ和えやゴマ味噌和えなどにするとおいしい。また、ゆでたものを細かく切り、餅やだんごと混ぜたり、現在はパン生地に混ぜたパンも市販されてます。衣をつけて天ぷらにしてもおいしい。乾燥品も市販されている。
ヨモギの葉の裏に、灰白色の綿毛が密生して、この綿毛を乾燥させて、モグサとしてお灸に利用されている。日本にも邪気、毒気を払う考えは受け継がれており、3月3日の桃の節句の菱餅に草餅が利用され、5月5日の端午の節句には、菖蒲と一緒に、ヨモギを軒下につるす風習が残っている地方もある。
凍結粉末は可能 但し時間が経過すると固まる。
5. トウキ(ヤマトトウキは有名)

薬用として植栽される芳香性の多年草、花期は8~9月。採取時期:11―12月。貧血や婦人病に特に効果があります。薬用部分は根。根を11月頃掘り起こし水洗い後日干しにするか、半乾燥の時湯もみして日干しにする。根には精油、ニコチン酸、ビタミン類等を含む。生理痛などには乾燥根一日量5~10gに水500mlを加え煎じて3回に分けて温めて服用する。精油は抹消血管拡張、解熱作用を示し、鎮痛、浄血、強壮薬としてもちいられているほか、葉を入浴剤に用いてもよい。根を味噌漬けやしょうゆ漬けにしても美味しい酒のつまみになります。
若葉を天ぷらにしても珍味。葉を入浴剤として使い、ひび・しもやけ・冷え性に効きます。

○トウキの料理法
  • ● 更年期障害予防ジュース
  • ● トウキゼリー
  • ● 大豆と昆布の当帰煮
  • ● 鶏肉の当帰煮
  • ● 鶏肉の当帰フライ
  • ● ラムステーキの当帰ソースかけ
  • ● 牛の尾の当帰スープ
  • ● 根菜の当帰入りスープ
  • ● 当帰を粉末にして小麦粉の感覚で使う。
  • ● 当帰を粉末にしてクッキー、パン、めんをつくる。
  • ● 当帰を粉末にしてチャーハン、お好み焼き、たこやきなど。
  • ● 当帰を粉末にしてマヨネーズに混ぜる。
  • ● 当帰を粉末にして当帰しょうゆをつくり調味料として使う。
  • ● 当帰を粉末にして当帰甘酢をつくり調味料として使う。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

「当帰芍薬散」(とうきしゃくやくさん)は生理トラブルや産前産後によく使用される漢方薬。倦怠感、冷え性、貧血、腹痛、めまい、むくみ、おりもの過多、不妊症、低血圧症、肌のくすみやそばかす、しもやけへの応用も。
バジルが造れる?

6.(ヤマト)シャクヤク

初夏(5~6月)、大形の紅・白色などのボタンに似た花を開く。根は、消炎・鎮痛・抗菌・止血・抗けいれん作用がある生薬。茎や花を利用して薬膳料理などの開発が可能。
中国では血行をよくする薬用茶として、芍薬の乾燥した花びらをお茶に入れて飲まれている。芳香の漂う飲物。
芍薬は中国を原産地とするボタン科の落葉灌木で、平安時代に輸入され、神社、仏閣や貴族の庭先をかざり、のちに一般の家庭にも広がりました。
「立てば芍薬、坐れば牡丹」と美人の形容に使われるほど美しい花をつけますが、その根が婦人病の薬として役立ちます。芍薬は、根の皮のコルク層をとって乾燥し、1日2~7グラムを煎じて薬用にします。有効成分はペオニフロリンで、血行促進作用もありますが、鎮静、鎮痛剤として強い効力をもっています。特に下腹部から足にかけての筋肉の痙攣、痛み、つっぱりに卓効を現わし、婦人の生理痛やさし込み、下痢によく使われます。

○効能・・ のぼせ・目まい・片頭痛・冷え・肩こり・生理不順・月経困難・便秘・痔疾・冷え性・美肌・盲腸炎・血圧降下

芍薬の成分:ペオニフェロリン、アンソツコウ酸、タンニンなどを含んでいます。
芍薬は漢方処方では、ことに婦人薬として利用度の高いものとなっています。

7.センブリ

苦いことで有名。胃液分泌 (ゲンチオピクロシド:促進、ゲンチアニン:抑制、スエルチノーゲン:少量で促進、大量で抑制) 。胆汁・胃液分泌促進。抗潰瘍 (ゲンチアニン) 、肝機能改善、毛細血管拡張、皮膚細胞賦活、発毛促進 (スウエルチノーゲン)血糖低下作用 (ベリヂフォリン) 。秋にタネをとって翌年の3~4月に畑にタネをまき,翌年の10月頃に収穫されます。秋の初めに花屋さんにも並ぶ小さな紫や白の花を咲かせるリンドウ科の草丈が5~25センチほどの二年草植物。根茎葉全て医薬品。

8.キクイモ

菊芋(きくいも)はキク科ヒマワリ属の多年草で、食用とされるのはその肥大した根の部分。菊芋は9月から10月にかけて黄色い菊に似た花を咲かせ、その後秋には地上部が枯れ、地中に塊茎を作ります。収穫されるのはそれからとなり、11月以降に掘り出されます。菊芋は秋に根が大きなり、翌春にはそこから新たに芽が出てきます。収穫はその間いつでも出来るということになります。とは言っても、雪が多い地方では雪が積もっている間収穫できず、11月頃と翌春3月から4月頃に掘り出されます。最も多く出回るのは11月から12月にかけてとなります。菊芋には「天然のインシュリン」といわれる「イヌリン」という成分を豊富に含んでいることから、最近では美容や健康面から注目を集めつつある野菜の1つです。イヌリンはタマネギ、ニラ、ゴボウ、アザミなどのキク科の植物に多く含まれていますが、その中でもこの菊芋が最も多く含まれています。菊芋に含まれるイヌリン効果により、血糖値、糖化ヘモグロビン濃度を下げる、 快食快便が実感できる、体力が付いてくる、新陳代謝がよくなり皮膚炎が治り、 肌がきれいになる。EDの改善が目に見えて来る。 膵臓機能改善、中性脂肪の減少、肝機能の回復、各臓器の改善などの効果が期待できます。
キクイモは,シャキっとした食感が特徴で,サラダから漬け物,炒め物,揚げ物まで幅広くご利用になれます。
調理法としてお勧めは,いろいろな食材の食感を楽しめる「きんぴら」や調理の簡単な「らっきょう酢漬け」など。煮物に利用される場合は加熱時間を短くすると煮くずれを防げます。シチューの材料として利用される場合には,ルーを入れる10分ほど前に鍋に入れます。
キクイモは、生ではほんのり甘くシャッキリ、加熱するとホクホクとトロトロが共存する不思議な食感が楽しめます。芋という名がついていながら、生でサラダ等でも食せるのも特長のひとつなのです。オススメ調理法は「電子レンジで加熱して、塩や好みのドレッシングをかける、これが手軽ながら美味しい食べ方とのこと。実にシンプルですが、キクイモ本来の味を感じることができます。また、生のまま小ぶりなサイズなものを味噌漬けにするのも定番です。油との相性も良いので、炒め物やきんぴらもオススメです。調理するうえで注意する点といえば、キクイモのイヌリンは水溶性なため、洗い過ぎたり煮物にすると栄養分が流れでてしまいます。ポトフ等にする場合はスープもしっかり飲みましょう。但しアクに弱い方は口の中が荒れる事があります。食べやすくする為に、料理の前にアク抜きをおすすめします。キクイモの皮を剥き水で軽く洗います、その後料理にあわせて千切りやスライスした状態でまた軽く洗います。 これでもダメな場合は、1日程度水につけておくと良いと思います。 洗う時は、歯ブラシを利用すると隙間まで洗う事が出来ます。ゴボウに似た食感と香りが楽しめます。

9.アマチャ

ヤマアジサイの変種。山地に生え、高さ約70センチ。夏、周囲に数個の装飾花をもつ花をつける。葉は乾かすと甘みが出るので飲用にする。こあまちゃ。あまくさ。アマチャまたはアマチャヅルの葉を乾燥させて煎じ出した飲み物。4月8日の灌仏会(かんぶつえ)に、甘露になぞらえ釈迦像の頭に注ぎ、また飲む風習がある。薬としては、抗アレルギー作用、歯周病に効果を有する。アチャの甘味は葉を乾燥させることによって出るもので、タンニンを含むため、生の葉を噛むと苦味を感じる人もいるようです。アマチャの葉を乾かすと、甘味成分であるフィロズルチンとイソフィロズルチンという物質が生成され、その甘さは砂糖やサッカリンの数百倍といわれます。そこで、甘茶はノンカロリー甘味料として、砂糖の代替品として糖尿病患者にも利用されるほか、甘味飲料や加工食品の甘味原料、漢方薬の苦み消し、歯磨きの甘味添加、醤油の味付け、などに使われることも多いようです。更に、生薬として、抗アレルギー作用、また歯周病に効果があるのだそうです。もちろん、お茶や麦茶などに砂糖を入れたものは甘茶ではありません。

10.カリン
11.ニッキ

ニッキは、肉桂(ニッケイ)、桂皮(ケイヒ)とも呼ばれ、日本では古くから医薬原料、製菓原料として親しまれてきました。現在では、シナモン(英語)と呼ぶのが一般的になりました。シナモンは、スリランカ原産のクスノキ科の常緑樹で、若枝の樹皮を剥ぎ取って発酵、乾燥させたものをスパイスとして用います。独特の甘い香りが特徴で、アップルパイやケーキなど菓子類によく使われますが、インドの混合スパイスであるガラムマサラの主要な材料になったり、鶏肉料理、羊料理にも使われます。また、コーヒーや紅茶、カクテルなどの香り付けにもよく利用されます。 抗菌、発汗や血行促進、鎮痛、解熱などの作用があり、風邪、発熱、頭痛、鼻炎、腹部膨満などに効果的です。ただし、子宮に対する強い刺激性があるので、妊婦は多量の摂取を控えたほうがいいでしょう。煎じた液を外用として、しもやけやひびにも効果があります。
京都銘菓ヤツハシや仁丹の香りの元になるものです。

参考)
・カシア
カシアはシナモンの近種のシナニッケイ(シナ肉桂、ニッキ、C. cassia)の樹皮からも作られるものが、カシアと呼ばれ、成分がシナモンとは若干異なります。漢方医学の生薬として、シナモンの一種のシナニッケイ(トンキンニッケイとも、C. cassia)の樹皮は桂皮(けいひ)と呼ばれる生薬であり、日本薬局方にも収録されていて、体を温める作用、発汗・発散作用、健胃作用があり、多数の方剤に配合され、若い枝の桂枝(けいし)も桂皮と同様に作用があるとされます。コルク層を付けたまま丸めて乾燥させるので厚くなります。シナモンに比べると香りが強いく、 日本で一番多く売られています。

・ニッキ(日本肉桂、C. okinawense)
日本肉桂の中にも2~3の種類があります。沖縄、徳之島、久米島に自生しており、根皮を桂皮の代用として用いられます(局方外品扱い)。栽培は少なく、現在では和歌山、高知、 九州の一部でわずかに栽培されているだけです。樹皮の香りはあまり無く、根の皮に強い香りがあります(香り、辛味とも強い)。なお、日本には、ニッケイ(肉桂、C. okinawense)が沖縄、徳之島、久米島に自生しており、根皮を桂皮の代用として用いられます(局方外品扱い)。

12. ヨーロッパハーブ

農業を含めた産地づくりを行う。